2011年10月アーカイブ

季節の移り変わりは速いもので、うるさく鳴いていた鈴虫も冬支度を整えるのに忙しいのか、すっかり静かになってしまいました。虫と言えば虫の目線から撮った写真があるのをご存知ですか?

栗林 慧(クリバヤシ サトシ)さんと言う写真家の作品なのですが、虫の目線の映像を撮りために独自のレンズを考案して、「アリからみると」という題名の写真集を出しています。
この写真を見ると妙に懐かしくなります。きっと子供の頃、この目線で虫と遊んでいたからなのかもしれません。

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この前、実家の近所のおじさんが亡くなって葬式に出るために帰省しました。もうだいぶ寒くなっていて、コタツが大活躍していました。
近所のおじさんと言っても、私には昔の記憶があまりなく、父の葬式に来ていただいたのをやっと思い出したくらいでした。
朝、実家で喪服に着替えて出棺を手伝うためにおじさんの家に向う時、小さい頃良く遊んだ道や川や田んぼの脇を通っていったのですが、なんて狭い小さな世界だったんだろうとちょっとビックリしてしまいました。私の記憶では、そのおじさんの家は結構遠くて、田んぼの脇の道を延々と歩いて、すごく長い坂道を登って、やっと着く家だったのですが。あんなに広くて大きな世界が、実はこんなに小さくてわずか5分で通り過ぎてしまうような世界だったとは。おじさんの家の柿の木がこんなに低くて、登らなくても手が届くとは。

ここで遊んでいた頃は身長が120cm位しかなかったからかも知れません。大人の目の高さからでは目線が違うと言えばそうなのですが、身長が伸びて目線が高くなってしまった事で、何でも遊びや冒険にしてしまうワクワクする心や、全てに興味や不思議を抱いた純粋な目を失ってしまっている自分がいる事に気が付いたのでした。

大人に成って(どの辺りから大人かは分かりません)、経験や知識が増えてくると、全ての事を知っているかのような錯覚に陥ってしまいます。「それは結果が分かっているから、やらなくても良いだろう」、「あれと似ているから、結果も同じだろう」など、実際にやってみることを止めてしまっている事が多くなってきています。子供の頃の身長にはもう戻れませんが、知識や情報に頼るのではなく、自分の体で実感して感動する事を大切にしていきたいと思います。

 

前回は電源フィルタの設計は意外と難しくて、雑音を除去するはずの電源フィルタが、逆に雑音や過剰な電圧を発生させてしまう回路になってしまう事があると紹介しました。

今回はその対策を考えてみたいと思います。

前回の回路は負荷に流れる電流のピークを10mAとしていましたが、最初の電流でいきなり電圧が1V付近に降下しています。

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図 1

 

これは、コンデンサCf1の値が150pFと小さいために急激な電流の増加に電源電圧が耐えられないためです。
つまり、急速な電流の変化にはインダクタは応答できないので、コンデンサが電流を先ずは供給して頑張り、あとでインダクタからゆっくりと電流を供給してもらうといった動きをするのですが、最初の部分で頑張りが足りないと電圧が降下してしまいます。
コンデンサがどのくらい頑張れるかは、次式の計算で求めることが出来ます。

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電圧降下は流れる電流を積分してコンデンサの値で割れば良いと言うことなので、計算してみると・・・

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の電圧降下が発生する事に成ります。

 

 

従って、150pFは10mAが40nsec流れるといった負荷には耐えられないということです。

ではどうするかと言うと、コンデンサの値を大きくするのが一番簡単です。
150pFで2.67Vの電圧降下だったので、特性に影響のないところまでと言うと・・・2桁ずらして、15000pFで0.0267Vの電圧降下であったら特性に問題はなさそうです。

早速変更して計算をして見ましょう。前回と同じように1MHzをカットオフ周波数にするためのインダクタの値を計算してみると下記の様になりました。 

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1.7uHは一番系列で近い値の1.8uHとしました。

 

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図 2

電圧効果は無くなりましたが、代わりに電源が振動するようになってしまいました。
電圧源からの周波数特性を確認してみると・・・・

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図 3

案の定、ピーキングが発生していました。
このままではリンギングが条件に依ってはひどくなり、場合に依っては発振してしまう恐れがあります。このピーキングは電源フィルタのインダクタとコンデンサの共振に依って発生しているので、この共振のQを出来るだけ低くすれば良いのですが、その計算は結構面倒な計算式となり、途中で挫折した方もいるかもしれません。そこで、もう少し簡単な方法を紹介したいと思います。

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図 4

まず上の図の様に電源から見たインピーダンスを、回路を組み立てながら考えてみます。

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図 5

最初は抵抗だけしかないので、1KΩが見えているだけです。

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図 6

コンデンサCf1が並列に付くと、並列なので低いインピーダンスが見えます(優先されます)。コンデンサと抵抗のインピーダンスが等しくなる周波数は、R0=1KΩ、Cf1=15000pFの場合、

 
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となります。

 

 

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図 7

最後にインダクタLf1を直列に繋ぎます。今度は直列なのでインピーダンスが高いほうが見え、右の様に再びインピーダンスは高くなります。
ここで大事なのがコンデンサとインダクタがぶつかり合うポイントです。Lf1=1.8uH、Cf1=15000pFの場合、このポイントの周波数(つまり、共振周波数)は

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となります。

 

 

この辺は教科書にも載っているので、知っている方がほとんどだと思います。
でも、ここからがミソです・・・

インダクタとコンデンサがぶつかり合ったポイントのインピーダンスは、Lf1=1.8uH、Cf1=15000pFの場合、

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となります。

 

 

インダクタとコンデンサの特性が直接ぶつかり合うと“共振”を起こします。
これが、図 3のピーキングの原因なので、共振が起きないように、つまりインダクタとコンデンサが直接ぶつからないようにしてやれば、ピーキングも減る事に成ります。

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図 8

例えば、上の様にコンデンサC0に直列に抵抗R1を入れて、インピーダンスが抵抗値より下がらないようにすることで、直接インダクタとぶつかり合わないようにしてみます。
Lf1=1.8uH、Cf1=15000pF、Rf1=15Ωとして計算した結果は次の様になります。

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図 9

ピーキングは大幅に減りました。それでは負荷を接続してみましょう。

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図 10

負荷電流に依って少し電源が変動しますが、大きな電圧降下も振動も無くなりました。
これでやっと電源フィルタの完成です。。。といいたいのですが、現実の電源フィルタにはもう少し工夫が必要です。それは寄生素子の影響です。
次回は寄生素子の影響を加味して、電源フィルタを完成させたいと思います。