<反射(その6)>
夏真っ盛りです。皆様はいかがお過ごしでしょうか。
こう暑い日が続くと水族館に行きたくなりませんか?大きな水槽をゆったりと泳ぐ魚を見ると、なんとなく涼しくなるような気がします(本当は冷房が効いているためなのですが)。
子供がまだ小さい頃、その強い要請に負けて良く出かけました。江ノ島水族館、油壺マリンパーク、品川水族館、八景島シーパラダイス、葛西臨海水族園・・・

水族館に出かけると必ず目にするのはイルカのショウです。調教師が手を挙げると一斉にイルカがジャンプをするのは、調教師が口にしている笛から出る合図の音を聞いてタイミングを取っているのだとご存知と思います。でもこの合図の音は非常に高い周波数(超音波)なので、人の耳には聞こえません。
イルカはこの超音波が聞こえるだけではなく、超音波を発射する事も出来ます。頭の部分が空洞になっていて、ここで共鳴させた超音波を狙ったものに当て、その反射を下あごで拾って相手の距離や硬さなど様々な情報を聞いて(見て)いるとのことです。漁をする時は小魚にこの超音波を集中させ、衝撃で失神させてからパクッといくそうで、高性能な魚探知機 兼 衝撃銃を持っている事に成ります。
イルカや鯨など群れで生活する動物は、互いのコミュニケーションに音を使うことが多いとのことです。水中で光はすぐに減衰してしまうのですが、音はかなり遠くまで届くことが理由だそうです。つまり、ハワイ島沖の鯨はオホーツク海に帰ってしまった彼女に、次の待ち合わせ場所を確認している と言うことです。
波を使って通信することはスマートフォンと変わりありませんが、イルカや鯨はこの充電の要らない便利な携帯電話を何万年も前から使っていたことに・・・驚かされます。
反射を使って何かを調べると言うと・・・TDRという測定方法があるのをご存知ですか?
“TDR”をGoogleで検索すると・・・ホテルご予約の案内。東京ディズニーリゾート・・・の略でもあるのですが(汗) ここではTime Domain Reflectometry の略です。
直訳すれば「時間軸の反射測定」となります。今まで反射の波形を時間軸で説明してきたのに何をいまさらと思われるかも知れませんが、この測定はSパラメータと同じく反射を測定する方法のひとつで、反射がどこで発生しているか、その場所を突き止めることが出来ます。
図 1
あるモジュールの端子に同軸ケーブルを接続してTDRを測定した結果、次の様な波形が出てきたとします。
図 2
つまり、V(vs):青の信号を送信した結果、信号源のインピーダンス整合をする抵抗RsにV(vin):緑の波形が現れたとします。実はこの波形から色んなことがわかるのです。
これは、終端抵抗が信号源インピーダンスから少し大きめになっていることを意味します。長い時間その値を保っていられるのは直流に近い成分であることを意味しているので、直流結合で接続されている終端抵抗が50Ωより10%ほど大きめになっていることが分かります。LSI内に終端抵抗を実装した場合は有りうることです。
なぞのモジュールを開けた結果は次の通りです。
ほぼ、波形から推定した結果を同じ回路となっていることが分かります。
なおTDRの更に詳しくは、下記を参照してください。
http://cp.literature.agilent.com/litweb/pdf/5989-6185EN.pdf
TDR測定は、中を触ることの出来ない回路(例えば、モジュールやLSIなど)のインピーダンス整合がどこでずれているかを外部から知ることが出来るので、非常に重宝な測定方法です。
反射波を使った方法は他にもあり、超音波を発射して、反射波を解析することで反射を起こした物体の状態(硬さなど)や距離を求めて映像にする超音波診断装置は、良い代表例だと思います。
http://ja.wikipedia.org/wiki/超音波検査
ここまで書いて、イルカは超音波診断装置を何万年も前から使っていたのだと、気が付きました(汗)
光を捉えると言う点では人も目も優れていて、ろうそくの光でも夏の海岸でも本が読めます。
しかし、自然に入ってくる光(情報)を見るだけではなく、自ら音波(言葉や行動)を発して、その反射(対話)を感じることで、目では見えない相手の内側や本質や大切なものが見えてくるのだ と教えられた気がしています。

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