2011年7月アーカイブ

<反射(その5)>

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テレビのアナログ放送が終了するまであと1週間をきりました。アナログ放送が無くなると聞くと古いアナログの時代は終わりと言うイメージを抱く方もいると思います。でも、デジタル放送と言っても電波はアナログだし、液晶画面を駆動するLSIもアナログです。“それでもアナログは無くならない”は、まだまだ頑張ります。

もう少しだけカメラの事を話したいと思います。フィルムカメラはフィルムの装填がものすごく面倒です。

  1. カメラの裏ブタを開けます。
    真ん中にシャッターが見え、左と右に部屋があります。
  2. 左の部屋に撮影前のフィルムを入れます。
    フィルムはパトローネという入れ物に入っていて、明るいところでも感光しないようになっています。
  3. フィルムを引き出して、シャッターの上を経由して右の部屋にある巻き取る軸にセットします。
  4. ふたを閉じて何枚か空撮りし巻き取りレバーを操作して、既に感光してしまっている部分を右の軸に巻き取ります。

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フィルムは36枚撮りが最大だったので、この操作を出来るだけ早く、そして確実に行わないと目の前を子供が走り抜け、絶好のシャッターチャンスを失う事になります。保育園の運動会の前夜、フィルム装填の練習をしたものでした。

フィルムで撮った写真と、デジカメで撮った写真を見比べるとなんとなくフィルムで撮った写真の方が柔らかい感じがするのは私だけでしょうか。写真が古かったり、ピントがボケているわけではないのですが、フィルムの写真はなんとなく“ほっ”とします。
フィルムは光を感じる粒子を利用して画像をフィルム上に残します。この粒子は大きさも配列のバラバラで全く規則性がありません。一方でデジタルカメラのCCDは光を感じる小さな素子が整然と並んでいます。デジタルカメラでもの凄く細い髪の毛を撮影したとき、たまたまその髪が整然と並んだ素子と素子の間に入ってしまったら・・・その髪は撮影できない事になってしまいます。フィルムの場合、光を感じる粒子がランダムに並んでいるので、どんな角度に細い髪が入っても、反応する粒子が全く無くなってしまうことはありません。必ず細い髪の毛が撮影できるのです。
網膜の視神経もランダムに並んでいることが、フィルムの写真を見たときに“ほっ”とする理由なのかもしれません。

ランダムと言うとなんとなく雑であったり信頼性に欠けるような印象があります。しかし、逆にそのランダムをうまく利用すれば、高い信頼性を得ることができるのです。

いろんな個性の人が集まり、その個性をお互いに認め合い活かす事が強い組織を作るキーであり、まさに弊社企業スピリットの「人を大切にする」こそが基本なのだと再度確認しました。

 
今回もSパラメータについてもう少し紹介したいと思います。

S11が入力側(左側)の反射量を示すなら、S22は出力側(右側)の反射量を示します。
そしてS21が入力から出力への(左から右への)電力伝達量を、S12は出力から入力への(右から左への)電力伝達量を示します。

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図 1

 

Sパラメータの中で先ず注目するのは、S21ではないでしょうか。
非測定物の周波数特性がどうなっているか、ピーキングは無いか?などを先ず確認する時に使います。そして次に注目するのがS11やS22ではないかと思います。

S11やS22に注目する理由は、実際に触ることが出来ないLSIの内部の波形を推定すること出来るからではないでしょうか。


 

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図 2

 

例えば、実際の評価でなぜかエラーを発生してしまうLSIがあったとします。寄生素子の影響であることはなんとなくわかっているのですが、どう調べたら良いか分からないこともあると思います。そんな時、S11が原因究明の手助けになってくれます。
まずLSIの等価モデルを想定します。上の図の様に最も簡単なものを使い、インダクタL0はボンディングワイヤーを、コンデンサC0はPADと入力トランジスタの寄生容量を等価するものとします。
PAD容量や入力トランジスタの寄生容量はデバイスの特性なので、デザインマニュアルなどを参照すればある程度の数字を得ることができると思います。問題なのはインダクタで、ボンディングワイヤーの長さ(特にループになっている分)や、PKGの端子がどの程度のインダクタになっているかを知るには骨が折れます。
上の回路で、Cp=1pFとしてインダクタLpを変化(2n, 5n,10n,20nH)させたときのS11を計算した結果を下に示します。


 

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図 3

等価回路を良く見ると、L/Cの直列共振回路となっています。なので、共振周波数では
整合抵抗R0に非常に低いインピーダンスが並列に入っている事に成ります。そのためS11は全反射(入力した電力の全てを反射する)し0dBを示す事に成ります。もし、実測したS11に全反射となる周波数があれば、その周波数を合わせるようにインダクタを計算して求めることが出来ます。
しかし、S11が全反射する周波数から寄生インダクタを求めても、なぜエラーが発生するかの説明は出来ません。そこで、等価回路のVout端子の周波数特性を確認してみます。


 

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図 4

 

S11の全反射する周波数で、ピーキングが発生していることが分かります。
このまま過渡解析をしてみると・・・

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図 5

 

大きなリンギングが発生して、エラーになっていることが分かります。更に厄介なことはLSIの入力波形を見ると分かります。

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図 6

 

LSIの入力波形には大きなリンギングは現れていません!
つまり、このLSIを評価するときに、LSIの端子Vinをプローブで観測しても上の図の様に“少しリンギングが有るけど、エラーするほどではないので、入力部には問題はない”と済ましてしまうと、永遠にエラーするなぞが分からないままになってしまいます。

簡易的でも、入力部の等価モデルとS11の測定結果を比較することで、実測できない内部の波形を推定することが出来ます。

ところで、LVDSなどの高速インターフェースでは整合抵抗をLSIの中に搭載することが一般的です。上の回路例では、整合抵抗R0はLSIの外部に実装していますがこれをLSI内に移動した場合の効果はと言うと・・・

 

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図 7

 

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図 8

 

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図 9

 

その効果が圧倒的なのは波形(図5が外部整合、図9が内部整合)を見れば一目瞭然です。

インピーダンス整合用の抵抗R0は、終端抵抗とも呼びます。そこ場所で今までの伝送路が終わるのでこの名前なのだと思うのですが、やはり終端抵抗は最後につけないとその効果が出ないと言うことだといってしまえばそうなのですが・・・寄生容量やインダクタや伝送路のミスマッチ、歪を全て背負って、終端する抵抗って偉いと思うのです。

次回はこのSパラメータと他のパラメータの関係について紹介していきたいと思います。