<反射(その4)>

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各社スマートフォンの夏モデルがそろそろ出始めてきています。最近は800万画素!?が携帯電話のおまけに入ってしまうのでカメラを首から下げている人が少なくなりました。昭和の日本人のイメージとして、メガネをかけてカメラを首から下げているのが定番だったのですが、これからはスマホを指でピってしているのが定番になるような気がします。

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これは30年くらい前、夏休みに家事(農作業)を手伝ってやっと手に入れたカメラです。フィルム式のカメラですが、たまに写して“フィルムの方がやっぱ色が深い”などと言ってると妻に“どうせ撮るなら、どっかに連れてってよ”と言われる今日この頃です。

“M90”と言う表示が見えるでしょうか。これはマニュアルの“M”ではなく”メカニカル“の”M“です。これを使うと電池が全く無くても1/90秒の機械式シャッターで写真を撮ることができます。今では当たり前ですが、当時のカメラも電池が無くなってしまうと電動式シャッターが動かなくなり写真が撮れなくなるカメラが主流でした。電池を切らしてしまうのは、使う側のミスなので仕方ないと言えばそうなのですが、「その瞬間はもう二度と見ることが出来ない瞬間なのかも知れない。そんなとき、たとえ1/90秒の固定とはいえ、メカニカルシャッターがあれば、何かをフィルムに残すことが出来るかもしれない」そんな開発者の思いが“M90”には込められている様な気がします。このカメラメーカーはライバル会社がさっさと電動式シャッターに変えても、いつまでも機械式シャッターを捨てずに搭載しつづけています。
(今の主力はデジタルカメラとなっているので、ごく一部の機種に限定ですが。)

最近のデジカメで電池がなくなると“電池がなくなりました。充電してください”とメッセージが出るものがあります。でも、そのメッセージを表示するためのバッテリーが残っているなら、いま沈み行く綺麗な夕日を撮るために、あと2回、いや1回でいいから動いて欲しいと強く思います。

設計する側はサービスのつもりでも、使う側にとって見れば余計な事に成ってしまっていうことって案外多いのではと思います。作り手の勝手な思い込みではなくて、使う側のことをどれだけ真剣に想像しイメージし、思いを馳せたかを、その製品にしっかりと刻み込むことが、お客様との強い信頼を生み出していくんだなと思います。

 

 

高周波の回路設計を行っていると、Sパラメータに必ず出会います。なぜSパラメータと出会わないといけないかと言うと、集中定数では扱えなくなってしまったからです。
前回の様に高周波信号は反射を起こします。進行していくものと反射に依って逆方向に進むものとが有り、これらの表現の一つの方法がSパラメータです。

20110628_2_misaizu.PNG

http://www.microwaves101.com/encyclopedia/sparameters.cfm

図 1

図 1の様に回路網に対して左から入力される信号と出て行く信号、また右側にも入力される信号と出て行く信号が定義されています。つまり、右側も左側も進行波と反射波を考えているという事になります。
(注:図でa1とb1は別の端子に成っていますが実際は一つの信号線です。入力される信号と出てくる信号を区別するために2本に分かれているだけです)

 

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私がSパラメータ(以下Sパラ)に出会ったのはHP(Hewlett Packard)のネットワークアナライザーに触ったときでした。高価な測定器だったので、めったに触ることが出来成ったのですが、どうしても満足いく特性が得られず“Sパラを測定してみろ”と先輩に言われて恐る恐る触ったのがきっかけでした。

横軸が周波数になっている測定器との始めての出会いでした。

 

 

 

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実はSパラメータは日本人の黒川兼行さん(左の写真)が考案したものであったことをご存知でしょうか?
1965年IEEEに発表された“Power Waves and the Scattering Matrix”と言う論文でSパラがこの世に発表されたとのことです。http://www.microwaves101.com/encyclopedia/halloffame3.cfm

 

 

SパラのSはScattering(散乱)からきています。
何が散乱しているのかと言うと・・・

Wikipedia(http://ja.wikipedia.org 『Sパラメータ』)に依れば、 

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と書いてあり、散乱行列と言うのを使うので、Sパラと呼ぶのだと分かります。
 
正直いうとSパラは私にはまだ分からないことの方が多いです。
SPICEでは電圧や電流を扱うことに慣れているのですが、なかなか電力の方向まで扱うことが少ないため、イメージがつかみにくい事が原因ではないかと思います。

そこでSPICEでSパラを扱うことが出来る回路を紹介したいと思います。

20110628_6_misaizu.PNG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図 2

 

上の回路は端子PORTに接続された回路網のS11を計算して端子S11に出力してくれる回路です。
回路網で発生している電圧(端子PORTの電圧)を依存電源E0で検出し、信号源インピーダンスR0で発生している電圧を依存電源E1で検出して、前者の電圧から引いているだけです。


 

20110628_7_misaizu.PNG

 

 

 

 

 

 

 

 

図 3

 

今まで使っていた伝送路のS11を計算してみましょう。終端抵抗の値Rtmは50Ωです。

20110628_8_misaizu.PNG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図 4

 

低周波ではS11は低い値を保っています(つまり、反射が少ない)が、高周波に成ると
終端抵抗と並列に入っているコンデンサC0(10pF)の影響でS11が増加します。

図 1から


 

 

と表されます。もし、a2=0ならば(つまり、回路網の右側から電力が入力されない時)

 

20110628_9_misaizu.PNGとなって、反射係数と同じ計算式となります。つまり、

 

 

20110628_10_misaizu.PNG

 

 

 

と書くことが出来て、S11が分かれば回路網のインピーダンスZlがわかる事に成ります。
例えば200MHzのZlは終端抵抗Rtm=50Ωと10pFとの並列なので、

20110628_11_misaizu.PNG

 

 

 

 

に成っているのでS11は、

20110628_12_misaizu.PNG

 

 

 

となり、シミュレーションがほぼ正しいことが分かります。

伝送路の右から2つ目の特性インピーダンスZoを意図的に(製造誤差等を想定)60Ωにした結果も図 4にプロットしました。
この結果がネットワークアナライザーの実測とどのくらいの精度で一致しているかの確認はできないですが、大きなずれはないように思います。

高周波の世界でも、相手に伝えたいことがほんとに伝わるのには時間がかかることや、今までの環境と異なる環境にはスムーズに入っていけない事など、人の社会と同じようなことが起きているのが非常に興味深いです。

次回もこのSパラの世界を紹介する予定です。

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このページは、dclueblogが2011年6月28日 13:56に書いたブログ記事です。

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