2010年9月アーカイブ
私が最初に浅間の噴火に出会ったのは、小学4年生の頃だったと思います。夕方、テレビを見ていた(“ハゼドン”って言うアニメでした)時に、地響きとともに腹の奥に刺さるような雷が落ちた様なすざましい音と振動を感じました。親父とお袋は真っ先に庭に飛び出し、“浅間が跳ねた”と言いながら北の方角を睨んでいました。“跳ねる”とは方言で噴火の事です。僕も下駄(確か冬だったと思います)を引っ掛けて庭に出たら、山の方がオレンジ色に明るくなっていて、“ゴー”と言う地響きが鳴り止まない状態でした。庭からは良く見えないので、道路のほうに移動して山の全体を見ると、山頂からオレンジ色の火柱が上がっていて、ゆっくりとオレンジ色の岩石が放物線を描いて、ほんとにゆっくりと山麓に落ちていくのが見えました。自分がガクガクしているのは細かく揺れている地面のせいではなく、ひざが震えているためと分かり、横にいた母に“どうなるの”と聞いたら、“風邪引くから家に入りな”と。母にとってこの程度の噴火はたいしたことはなく、小諸には噴石も降って来ないと知っていたので、そんな事より、真冬にパジャマのまま出てきた私の方が気になったのだと思います。
浅間山麓には「鬼押し出し」という場所があり、山麓に広がる広大な溶岩が固まった一帯です。
天明3年(1783年)7月8日、浅間山が今まで無い大噴火をして、そのとき大量の火砕流が山腹を猛スピードで下りました。山腹の土石は溶岩流により削りとられ土石なだれとして北へ流れ下利、鎌原村を直撃した土石なだれはその時間なんとたったの十数分の出来事だったとの事です。
家屋・人々・家畜などをのみこみながら土石なだれは吾妻川に落ち、鎌原村の被害は死者477人、生存者は鎌原観音堂に逃げ延びた93人のみでした。この噴火の際、最後に流出したのが鬼押溶岩流です。〈嬬恋村誌上巻 自然界 浅間山のおいたち・浅間山噴火史より抜粋〉
何十年ぶりか分かりませんが今年の夏、母と家族とで鬼押し出しに行ってきました。
建物などは建て替えられ、綺麗になっていましたが、当時の恐ろしさを伝える溶岩流の原野は当時のままでした。自然の力の前では人間がなんて小さく、とてもかないっこないって震えていた小学生の私は、今では色んな知識や経験を得て、何となく自然が分かりかけてきているような気になっていました。そんな私に鬼押し出しは、“まだ何も分かっていないよ”と言って当時と同じ迫力で迎えてくれました。
前回はDFFには、セットアップ・ホールドタイムがあり、このタイミングでデータとクロックを入力すると、正しく出力されず、メタステーブルと言った現象が発生することを紹介しました。
今回は、セットアップ・ホールドタイムの特徴とメタステーブル対策を紹介したいと思います。
シミュレーションに使ったDFFの回路は、DFF(その4)で使った下記の回路です。
以上の結果から、
- DATA入力振幅が小さくなると、セットアップ・ホールド時間が長くなる
- DATA入力波形のTr/Tf時間が長くなると、セットアップ・ホールド時間が長くなる
- CLK入力振幅と波形のTr/Tf時間はセットアップ・ホールド時間にあまり影響を与えない
事が分かり、“DATAをきれいにしてDFFに入力する”かが大事と言えます。
実は、セットアップ・ホールド時間を調べたのは、メタステーブルをシミュレーションで発生させるためだったのですが、なかなか発生しません。
メタステーブルのメカニズムは、マスターラッチがラッチ出来ず中間電位でウロウロしたり、入力データとは無関係なデータを出力したりすること(図 7参照)なのですが、普通のDFFではなかなか再現できません。
普通のラッチは上図のように正帰還ループを使うため、簡単に中途半端な電圧にとめる事ができません。例えば、インバータI2の入力電圧D1と帰還出力D1XXがピッタリ同じ中間電圧にあったとしても、CLK3が‘H’になってSWが切り替った影響で’H'か‘L’のどちらかに飛んでしまいます。つまり、メタステーブルはめったに発生しない現象なのです。
また、メタステーブルに入って中間電位が出ていたとしても、それは非常に不安定な状態なので何らかの外乱(CLKの立下りなど)で中間電位から脱し、次のCLKでは正常に戻ることがほとんどです。
① 予期しない出力が出るので、後段のデジタル回路が誤動作する。
② 中間電位名出力されると、後段のデジタル回路にも貫通電流が流れる。
③ シミュレーションで再現できないので、設計で気がつかないことがある。
メタステーブルを防止するには、セットアップ・ホールド時間をきちんと確保した同期設計をする事が一番確実なのです。しかし、リセット回路など非同期の信号を扱う場合は、セットアップ・ホールドなどと言えません。このような非同期の場合は、下記のように対策します。
