2009年10月アーカイブ

<BGR(その1)>

| | コメント(0)

すみません、4ヶ月ぶりの更新となってしまいました。

先日、弊社の北米オフィスのブライアン氏と仕事の後、どこか日本らしいとこに行こうって事になり、浅草に行ってきました。
浅草はTVでは何度も見ているのですが、実際に行くのは私も初めてで、雷門が意外とこぢんまりとしているのに驚きました。
土曜日ってこともあって仲見世通りはごったがえしていて、ラッシュ時の横浜駅中央改札出口みたいな感じになっていたので、アリゾナ州フェニックスから来たブライアンにとっては歩きにくかったと思います。

 
20091023_1_misaizu.JPG

その後、東京と言えばやはり東京タワーだって事になり、久しぶり(中学の修学旅行以来31年ぶり)に東京タワーに登りました。時間も辺りが暗くなる頃だったので、夜景を見るカップルや観光客が展望台の窓にびっしりと張り付いて、男3人組の我々はなかなか夜景にありつけない状況でした。
東京タワーが完成したのは1958年の12月の事なので51年も前の建造物なのですが、力学的に高いレベルで完成された鉄骨が作り出す曲線は相変わらず美しく、東京のシンボルとして今も現役だなと思うのでした。

 

20091023_2_misaizu.JPG

東京って近いけど、意外と行ってない所がまだまだあるなって気が付いた、今日この頃です。

 

今日は電源などに広く使われているBGR(Band Gap Reference)について今回は触れてみたいと思います。
Band Gapと言われても、Bandとは? 何と何のGap?などの疑問が出てきますが、その辺りの歴史は良く知りません。ただ、Referenceと言うことから”基準“であることに間違いはないです。
基準電圧を作るには電源電圧を使う(抵抗で分圧して欲しい電圧を作る)のが一番簡単なのですが、電源電圧が変化すると、基準電圧も変わってしまいます。
回路設計をしていると、コンパレータの閾値や電流源の電流値など、電源が変化しても変って欲しくない値が必要になってきます。
こういった値を回路の中で作るには基準となるものが必要で、BGRが良く使われます。

 

20091023_3_misaizu.PNG
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BGRを作っているのは図 1にかいた2つのダイオードと抵抗です。
特徴的なのは、抵抗が付いている側のダイオードは並列なのですが、抵抗がないほうは1つです。
この回路のVa,Vbに同じ電流を流した時に、Va,Vbの電圧を見て見ると、次のようになります。

20091023_4_misaizu.PNG

 
ダイオードしか付いていないVa(緑の線)はあまり傾斜が無く比較的平らになります。
(つまり、電流が流れてもあまり電圧は変化しません)。
一方で抵抗が付いているVb(オレンジの線)は傾斜を持っています。
(抵抗があるので、電流が増えれば電圧も増えます)。
このVaとVbの交わる点(縦の赤いカーソル)がBGR電圧を作り出しているのです。
つまり、この交点となる電流は温度と抵抗値のみで決まっていて、電源電圧とは全く無関係なのです。計算式を使って説明しないと納得できない方もいると思いますので、やってみます。
 
ダイオードの順方向電圧Vfと順方向電流Ifの関係式は、

  

20091023_5_misaizu.PNG

 

 

  

 

で表されて変形すると

20091023_6_misaizu.PNG

 

 

 

 

 

K:ボルツマン定数 T:絶対温度 q:素電荷 Is:逆飽和電流
となります。図 1の回路に当てはめると、

20091023_7_misaizu.PNG

 

 

 

 

 

注)右側のダイオードは並列にm個並んでいるので、一個当たりに流れる電流はIb/m。
と成ります。
このVaとVbが等しくなる点の電流を計算すると、

20091023_8_misaizu.PNG

 

 

 

と成りますが、逆飽和電流:Isは通常1e-15などと非常に小さな値をとるので、Ia>>Is、Ib>>Isから

20091023_9_misaizu.PNG

 

 

 

と近似できます。更にIa=Ib=Ifとすると、

20091023_10_misaizu.PNG

 

 

 

 

 

を得ることが出来ます・・・VtとRbgrと定数しか残っていないです。
この式の凄い所は「電源電圧や電流がどこにも入っていない!」ことです。
つまり、電流Ifは電源電圧や電源電流とは無関係に決まると言うことです。

この電流Ifに抵抗Rcを付けた時に発生する電圧Vcは、

20091023_11_misaizu.PNG

 

 

 

と成って、電源電圧とは全く無関係で、

20091023_12_misaizu.PNG

 

 

 

更にVtに依存する部分、つまり温度をキャンセルできれば、温度、電源電圧、素子の絶対値バラツキとは全く無関係な電圧を作り出すことが出来ます。

次回は、VaとVbを一致させる回路を含めて、BGR回路全体を紹介したいと思います。