2008年2月アーカイブ

<3種の部品>

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私は先日ついに45才になってしまいました。まだ徹夜は出来ます。
でも、週末に”寝貯め”ができなくなりました。

気持ちとは裏腹に、体は少しずつ経時劣化を始めてます。
色々と気を付けねば。

会社の前の歩道をバリアフリー化ということで工事をしています。
なんで何度も掘り返すのでしょうか?
どうして一度に出来ないのでしょうか?
毎年年度末に工事が多くなるのは何故でしょうか?
ちょっとは改善して欲しいものです。

 

今回は僕たちが回路設計に使う部品とその性質にちょっと触れてみたいと思います。

どんなに複雑な動きをするデバイスでも回路でも、3種類の部品と2種類の電源で
成り立っています。
3種類の部品とは、抵抗、コンデンサ、インダクタで、2種類の電源とは電圧源と電流源です。
スーパーコンピューター(もうあまり誰も言わなくなってしまったけど)から携帯まで、
電気回路はすべて、この5種類の部品に分解できます。トランジスタやFETはもちろん、
水晶発信器もこれらの3種類の部品で等化モデルを作ります。

また、必要な計算式は、オームの法則のみです。


電圧=電流×抵抗


を知っていれば、ほとんどの事がわかります。抵抗しかないけどインダクタやコンデン
サは?っていう方もいるかもしれませんが、インダクタやコンデンサは、周波数によって
値が変わる抵抗なので、抵抗と同じ様に考えればいいのです。

 

抵抗   =周波数が変わっても抵抗値は変わらない。
コンデンサ=周波数が高くなると抵抗値が下がる。
インダクタ=周波数が低くなると抵抗値が上がる。

 

電子回路の中ではこの3種類の異なる性質も持つ部品達が、様々なドラマを
繰り広げているのです。

例えば、共振回路はこんな感じになっています。

 20080219_1_misaizu.PNG

電流源(I1,I2,I3)にコンデンサ(C1)、インダクタ(L1)のみと、これらを並列に
繋いだ回路を比較してみます。

(クリックすると図が表示されます。)

 

コンデンサの抵抗は周波数が高くなると小さくなるので、OUT_Cの電圧は右下がりの
特性になり、逆にインダクタの抵抗は周波数と共に大きくなるので右上がりになります。
(縦軸のdB?、なぜ直線? は別の機会に触れたいと思います) 

それでは、並列に繋いだ回路はどうなるのでしょうか? 並列なので、抵抗の低い方が
勝つ(の値に近くなる)です。
周波数が低い時はインダクタ(L2)が、周波数が高いほうはコンデンサ(C2)が勝ちで
“へ”の字の特性になると思われます。

それでは交差している160KHz付近はどうなるのでしょうか?お互いに抵抗値が近いので、
どっちが勝つとかいえない状況です。。。シミュレーション結果は次のようになります。

(クリックすると図が表示されます。)

 

160KHz付近はインダクタもコンデンサも値が近くてお互いに譲らないので、“共振”が発生し、
非常に高い抵抗値になります。
相反する性質を持っているインダクタやコンデンサをいっしょに使うことで、単体の性質を遥かに
越えた性質を得ることが出来るのです。
抵抗を忘れてました。抵抗も参加させると、こんな感じになります。

(クリックすると図が表示されます。) 

 

 抵抗(緑の線)が共振(赤い線)の頭を抑えています。抵抗はインダクタやコンデンサが
作る共振を制御することが出来ます。インダクタ(L2)とコンデンサ(C2)の喧嘩に抵抗(R2)が
仲裁に入った感じです。

 

 

20080219_5_misaizu.PNG
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ部品を並列ではなくて、直列に繋いでみます。直列なので、抵抗値が高いほうが
勝ちますから周波数が低い時はコンデンサが勝って、周波数が高い時はインダクタが
勝ちます。仲裁に抵抗が入って。。。こんな感じになります。

(クリックすると図が表示されます。)

 

①インダクタが右上がりで、②コンデンサは右下がり、③抵抗は水平。④並列は低いほう、
直列は高いほうが勝つ。
この法則を覚えておいて、回路部品を順番にグラフに書き加えていくと、どんなに複雑な
回路でも周波数特性の概略が分かってしまうのです。

難しい計算(jωやダンピングファクタ、Qなど)も最終的には必要なのですが、“絵”で
部品の性質を感覚的に知っておく方が楽しいし、実際の回路設計の現場では役に立つと思います。

LSIを開発した後、そのLSIがきちんと動作しているかを確認することを僕たちは「評価」と呼んでいます。
この評価で、大きな喜びの瞬間があります。それは、信号が疎通する、つまり送ったデータがエラーせずに受信できた瞬間です。単純な回路よりも、複雑で要求されている特性が厳しい時はその喜びは何ともいえません。
そんな風に感じる私は・・・少し変なのかも知れないです(汗)
 
さて、信号が通ってエラーが無くなったと良く喜びますが、本当にエラーは無くなったのでしょうか?
実は残念なことに、エラーは無くなっていないのです。エラーの発生確率がすごく低いので、たまたま実験室で見ている時はエラーが出ていなかっただけ・・・なのです。いやそんなはずは無いと言う方もいるかと思いますが、1年後、20年後、100年後もエラーは絶対にしないと言えるでしょうか?
 
エラーとは簡単に言うと、“1”であったはずのものが“0”になってしまうこと(またそれの逆)です。
そもそも、“1”とか“0”とかは人が決めたものであって、自然のままの信号は“1”も“0”も無く、連続しています。
また、世の中の信号には必ず雑音が混じっています。熱雑音、ショット雑音、フリッカーノイズ(1/fノイズとも言います)が主なもので、物質に温度があれば必ず雑音が混じっています。雑音は乱数なので、その量がどこまで増えるかは・・・確立の問題となるのです。
“1”が雑音で時々“0.9”になっても閾値が“0.5”だったら“0”と誤ったりしないのですが、雑音の量が非常に稀に、何十年に1度だけ、ほんとに偶然に偶然が重なって、0.499999になってしまったら“0”とエラーするのです。
 
長距離飛んできた電波や光は、信号が非常に小さくなってしまっているので、雑音に埋もれています。
なので、携帯電話やデジタルテレビでは、会話や画像が途切れてしまったりしないように、色々な保護やエラー訂正機能が組み込まれています。気づかないだけで、内部でエラーは発生しているはずです。エラー訂正機能があるのなら、問題ないということになりそうなのですが、この訂正機能も訂正前のエラーが手におえないほど多くなったら時々訂正に失敗してエラーしてしまいます。
 
電子回路や装置は誤ってはいけないので100%を求められるのですが、どんなに頑張っても完璧に100%エラーをなくすことは出来ません。こう言うと、“そんなのはちゃんと回路設計が出来ないいい訳だ!”とおっしゃる方もいるかもしれないです・・・・が、電子回路も自然の一部なのですから、必ず間違えるのです。大事なのはそのエラーを予め考慮し、エラーが発生したときに使う人が気が付かない様にしておくこと、が重要なのではないかと思うのです。
 
次回は、“アナログの部品”について書いてみたいと思います。