2008年1月アーカイブ
D-CLUEの美齊津(ミサイヅ)です。
寒い毎日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
会社(横浜です)の前の通りにある木が枝だけになってしまって、ねぐらにしていた鳥たちは今はどこで過ごしているのか気になっている、今日この頃です。
第2回目のネタは、「アナログの記号」です。
皆さんはアナログの回路図って見たことがあるでしょうか。線がジグザグになっていたり、棒が3本あってまるで囲まれている記号がある図面です。最近は全く無いですが、昔はテレビの後ろのパネルには何か図面が貼り付けてあったものです。何の為に貼ってあったのか分かりませんが、子供心に興味深深で、その図面が見たくて埃だらけのテレビの裏を覗いたものでした。デジタル回路は今やRTLやVHDL等の記述言語で表現することがほとんどで、回路図はあまり目にしなくなっていますが、アナログ回路は回路図がまだまだ現役です。
何かの機能を表検するのに“記号”が使われますが、アナログ回路に使う記号はすごく良く出来ています。
その部品やデバイスがどんな動作をするのかが記号を見ただけで分かって(イメージできて)しまいます。
例えば、抵抗は線をジグザグに書きます。
何か通り難い感じをうけませんか?・・・抵抗は線の中を電流を通り難くするのです。
コンデンサはこんなです。
並行した板が向き合ってます(実際に構造もそうなっています)。並行の板の間には何も入っていないので、行き止まりの感じがします。でも、板が近いので急いだら向こう側に行けそうな感じがしませんか?・・・コンデンサは、低周波(ゆっくり)は通し難いのですが、高周波(早く)は通し易いのです。
インダクタはこんなです。
抵抗とちょっと似てますが、線がらせん状に巻いてあります。(これも、実際に構造とおなじ)。
くるくる巻いてあるので、通り抜けるのに時間がかかりそうです。ゆっくり進むときは気になりませんが、急いで通り抜けようとするとくるくるが邪魔になってきます。インダクタは、低周波(ゆっくり)は通し易いですが、高周波(急いで)は通し難いです。トランジスタはこんなです。
ちょっと言葉では説明が難しいのですが、先ず矢印があります。これは、この矢印の方向に電流が流れることをしめしてます。そして、矢印の両端(ベースとエミッタ間)の電圧はだいたい0.7V位であまり変化しません。
もうひとつの端子(コレクタ)には矢印がないです。これは、ここ(コレクタ)の電圧は自由に動くことを示したいるのです。トランジスタの回路設計をする時は、
①ベース電圧とエミッタ電圧を決め、
②その値からコレクタに流れる電流を求め、
③コレクタに繋がっている部品や電源電圧からコレクタの電圧を求める
の手順で設計するのが基本です。
アナログの世界は、絵や記号などがすごく重要な意味を持ちます。それは、扱うアナログ量は数字や言葉でよりも、絵や記号の方が表現し易いためなのではないかと思います。これらの記号は世界共通(少し方言がありますが)です。
言葉でいくら説明しても全く分かってくれなかったエンジニアが、回路図と波形をOAボードに書いた途端、
“OK, I undersutoodd“
と言った事が何度あったことか。
次回は、「エラーは無くならない」について書いてみようかと思います。
記念すべき第1回は
<インピーダンスマッチング>です。
最近、デジタル回路の動作速度が速くなってきて、今まで考えていなかった問題に直面する
エンジニアが増えて来ていると思います。その一例にインピーダンスマッチングと言う問題
があるかとおもいます。(RFなどの)高速アナログを仕事にしている方には当たり前のことで
すが、デジタル回路を中心に仕事をされている方には、悩みがひとつ増えてしまったことに
なります。
インピーダンスがマッチングしないと・・・何が問題なの?
学術的には「伝送線路の特性インピーダンスと終端抵抗のインピーダンスが整合しているこ
と」と書いてあったりするのですが・・・何を言っているのか理解しがたいものがあります。
でもなぜ、インピーダンスマッチングが問題になるのでしょうか。インピーダンスが整合
(つまり一致)していないと何が起こるのかと言うと”反射”が起こります。
つまり、今まで伝送路を通ってきた大事な信号が反射し受信する回路に信号が伝わらなくな
り、エラーや誤動作が発生するから問題になるのです。
それでは、なぜ反射するかというと・・・
ちゃんと説明するには難しい計算式を沢山使わないといけないので簡単な例で説明しようと
思います。
長いロープ(出来れば柔らかいほうがいいです)を用意して床に一直線に伸ばして置きます。
ロープの端を持って、もう一方の端に”1”を伝えるつもりで勢いよく持ち上げてすぐ下げ
ます。そうすると、ロープに”山”ができ、これが反対の端に向かって走っていくのが見え
ると思います。反対の端に届いた時に何が起きるかよく観察してください。
”小さい山”がちょっと戻ってきませんでしたか? これが”反射”です。
今まで、ロープを伝ってきた信号(山)が急にロープが無くなってしまうので、行き場を失
って戻ってきたのです。つまり、今まで信号を伝えてきた媒体の状態が急に変わるとそこに
は反射が発生します。これは、電気信号だけではなく"音"や"光"でも一緒ですし、人間だっ
て急に周りの環境が変わったら後ずさりしたり、戻ったりしませんか?
では、整合するには・・・
"山"にロープが切れていないように見せればいいのです。感覚的な話で申し訳ないですが、
ちょっとしたばねでロープを床につないであげると・・・'山'はばねに吸収されて戻ってこ
なくなる(と思います)
アナログ回路設計は難しいとか、高速動作は理解しにくいとか良く言われます。
でも、アナログ回路は我々身の回りに「自然」という非常に優れたお手本があり、その真似
をしているだけに過ぎないのでは?スケール(時間軸を含めて)が違うだけでないか?
と思う事が多々あります。
”アナログ”の語源は、英語のanalogy(類似性、類似学)で、類似しているから相似形や
「連続している」と言う意味へ変化したと聞きます。つまり、連続した信号を扱うからアナロ
グ回路なのですが・・・連続しているのは信号だけではなく、電子回路で起きている現象が
我々の回りの自然と密接な関係にあり、まさに「連続している」のでは?と感じている今日
この頃です。
第1回目はなんだか感覚的な話になってしまいましたが、次回はもう少しテクニカルな部分
も織り交ぜて生きたいと思います。
初めまして。
D-CLUEでRFとアナログを担当している美齊津(ミサイヅ)といいます。
(ちょっと変わった姓ですが、ピュアな日本人です)
私は、電気工学科を卒業したのですが、アナログ電子回路は避けて通って来たので、
卒論は、今となっては懐かしい”FORTRAN”を使った光線追跡プログラムに関するものでした。
そんなでしたから、トランジスタやFETのアナログ世界には就職で出会ったといっていいと
思います。なのになぜかアナログ電子回路の魅力に取り付かれて、23年目になりました。
ブログを始めた訳は、普段感じているアナログの世界の魅力を皆さんに少しでも知っていた
だくころとで、絶滅の危機に瀕しているアナログエンジニアが少しでも増えたらいいなと思
ったからです。文章を書くことに慣れていないので、読み難かったり、誤字脱字があったり
するかもしれませんが、ご容赦下さい。
